一条工務店「グラン・スマート」徹底解説｜価格・性能・後悔しない選び方

高気密・高断熱の代名詞とも言われる一条工務店。その中でも「グラン・スマート」は、性能とデザイン性、コストのバランスに優れたモデルとして注目されています。断熱等性能等級7（HEAT20 G3相当）対応の高性能な住まいでありながら、仕様や価格において無理のない設計が可能なため、初めての家づくりにも現実的な選択肢となり得ます。

一方で、実際の見積もりや地域による仕様の差、オプション選定の影響、住み心地の実感など、判断材料は多岐にわたります。単なるスペック比較ではわからない「後悔しないための視点」が求められるモデルです。

この記事では、グラン・スマートの仕様・性能・コスト・実際の暮らしや注意点まで、家づくりを検討する上で欠かせない情報を深く掘り下げて解説します。性能重視で高コスパな住宅を検討している方にとって、納得の選択ができるよう判断材料を提供します。

グラン・スマートの公式仕様とシリーズ内の位置づけ

同じハウスメーカーでも、モデルごとの違いは住み心地や予算、将来のメンテナンス計画に大きく影響します。グラン・スマートは一条工務店の中でどんな立ち位置にあるのか、他シリーズと何が違うのかを正確に知ることが、後悔しない選択につながります。

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中上位モデルであるグラン・スマートの立ち位置

グラン・スマートは、性能とコストの両立を重視する家庭向けに設計された中上位グレードにあたります。

モデル名	位置づけ	特長	推奨ターゲット
i-smart	ハイグレード性能重視	最高等級断熱・先進設備	性能重視・予算に余裕あり
グラン・スマート	バランス型中上位	高性能＋柔らかいデザイン	性能とコストの両立を重視する層
グランセゾン	デザイン特化	吹抜け・無垢床など上質内装	見た目や空間デザイン重視
i-cube	ベーシック性能	構造・設備は共通だが選択肢少	価格を抑えたい家庭

※グラン・スマートは性能面ではi-smartとほぼ同等の構造仕様を持ちながら、デザイン・内装・選択肢を調整することでコストバランスを取っている点が特長です。

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高性能と柔らかい内装を両立した開発コンセプト

一条工務店の技術は基本的に全モデルで共通していますが、グラン・スマートは「i-smartと同等の断熱性能を保ちつつ、より柔らかな内装デザインを求める層」に向けて開発されました。床材や建具の選択肢、キッチンやカップボードの意匠において、ややナチュラルな方向に振られています。

外壁は一条独自の「タイル外壁」が標準。耐久性・メンテナンス性を考慮しつつも、重厚感ある外観デザインに仕上がっています。

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性能・デザイン・価格のバランスを追求したモデルであり、迷ったときの“ちょうどよさ”を体現する位置づけです。

高性能設備を備えたグラン・スマートの標準仕様

標準仕様の充実度は、一条工務店の強みでもあります。追加費用なしで住宅性能の核心部分が高水準で搭載されているため、必要以上のオプション選定を避けやすくなっています。

以下に、グラン・スマートの主要な標準仕様をまとめます。

外内ダブル断熱構法（壁：内側140mm＋外側50mmのウレタン）

断熱材の厚みと施工一体型構法により断熱等級7を達成。断熱欠損リスクが低く、性能が安定します。

トリプル樹脂サッシ（防犯・Low-E仕様）

窓の熱貫流率は0.73W/㎡・Kとされ、窓からの熱損失を最小限に抑えます。

全館床暖房（電気ヒーター式）

リビングだけでなく、脱衣所・廊下まで均一に暖められる構造。ランニングコストにも配慮されています。



第1種換気（ロスガード90）

熱交換率最大90%。冬の暖房効率が高く、湿度調整機能付きの「うるケア」も連携可能。



関連記事：一条工務店ロスガード90と「うるケア」は生活スタイル適合で選ぶべき

ツインモノコック構造（高耐震木造構法）



構造体を二重化し、地震時の変形を最小限に抑える耐震等級3の骨組み。

外壁総タイル貼り（メンテ不要仕様）

一般的な塗装壁と違い、30年以上塗り替え不要。初期費用はかかるが将来的なコストメリットが高い。

高断熱玄関ドア（DANNJUシリーズ）

U値0.46W/㎡・Kとされる断熱玄関ドアを標準採用。風除室のない設計でも寒気を通しません。

これら標準仕様はすべて「追加費用なし」で基本プランに含まれており、「性能を下げずに予算を管理できる」という点で他社・他モデルとの明確な差別化要素となっています。住宅性能にこだわりつつ、余計なオプションコストを避けたい方にとって有力な候補といえます。

坪単価と総額の乖離に注意した見積もりの見方

「坪単価が〇〇万円」と聞いて安心したものの、最終的な契約金額を見て驚く人は少なくありません。一条工務店の家は高性能で標準装備が充実している分、初期見積もりが分かりづらくなりがちです。総額を正しく把握しないと、あとから大きな予算オーバーにつながる可能性があります。

関連記事：一条工務店の坪単価は高い？安い？他社比較・価格内訳・注意点を徹底解説！

坪単価は約78〜90万円が目安

2025年時点で、グラン・スマートの建物本体価格における坪単価の目安は以下のとおりです。

項目	内容
坪単価の平均値（本体価格）	約81〜82万円／坪
見積もり幅	約78〜90万円／坪の範囲で推移
i-smartとの比較	同水準〜若干安い設定が多い
グランセゾンとの比較	グラン・スマートの方が高い傾向

※坪単価はあくまで建物本体部分の参考値であり、外構や付帯工事、オプションなどは含まれていません。

この平均値は、複数の見積もり事例から抽出された実勢データに基づくもので、地域や仕様によって変動する前提で考える必要があります。

条件次第で坪単価が変動する費用構造に注意

同じプランでも、敷地条件や気候対応によって坪単価は上下します。以下のような条件は費用に大きく影響します。

積雪地域の断熱強化・屋根形状対応

寒冷地仕様（トリプルガラス厚み増し・断熱材追加など）により1坪あたり2〜4万円前後上昇するケースがあります。



しょーすけ

地域の気候条件によって費用は坪単価レベルで上下します。

地盤条件・傾斜地への対応

改良工事や深基礎対応が必要になると、本体とは別に数十万円〜100万円単位の追加費用が発生します。

二世帯住宅・特注プランへの変更

間取り自由度が上がる一方で、構造変更や部材の追加が必要となり、坪単価は10%以上上がる傾向があります。

設備増強（太陽光、蓄電池、床下エアコン等）

一条の標準仕様にはないシステムを導入する場合、全体コストに大きく影響します。

グラン・スマートの性能基準を保ちつつも、条件次第で本体費用が大きく変動する仕組みを理解することが、予算設計の出発点です。

坪単価に含まれない付帯費用の事前把握が必要

坪単価には含まれないが、ほぼ必ず発生する費用は多数あります。見落とすと「こんなに追加があるとは思わなかった」という事態になりやすいため、以下の項目を事前に把握しておくことが重要です。

外構工事（アプローチ・駐車場・庭）



標準には含まれず、費用は50万〜200万円が一般的。仕様次第で上下します。

照明・カーテン・家電接続費用

建築費には含まれないケースが多く、一式で30万〜70万円程度必要です。

地盤改良費・造成工事費

土地条件によって大きく異なり、改良が必要な場合は50万円〜200万円以上かかることもあります。

給排水引き込み・ガス工事

インフラ工事は土地により要否が異なり、30万〜100万円前後の見積もりが一般的です。

登記・火災保険・各種税金（諸経費）

登記費用・印紙・住宅ローン事務手数料などで、100万〜150万円程度かかります。

これらはいずれも「坪単価」に含まれないが、実際には避けて通れない支出です。見積書を見る際は、これらの有無・金額感を必ず確認してください。

本体と総額に600〜800万円の差が生じる傾向

以下は、実際の見積もり事例を元にした建物本体と総額の乖離例です。

延床面積	建物本体価格（概算）	総額（オプション・外構・諸費用込）	本体との差額
30坪	約2,430万円（81万円/坪）	約3,080万円	約650万円
35坪	約2,835万円（81万円/坪）	約3,570万円	約735万円
40坪	約3,240万円（81万円/坪）	約4,050万円	約810万円

※オプション150万〜200万、外構80万〜150万、諸費用100万〜150万を含んだ想定

このように、建物本体と総額には平均で600万〜800万円の差が生まれることが一般的です。契約前の見積もりで「本体価格」にだけ目がいくと、後から予算オーバーにつながる原因になります。

「坪単価×坪数」では実際の支出は見えません。総額でどこまで必要なのかを知ることが、家づくりにおいてもっとも現実的なスタートラインです。

数値と実体験の両面で高性能住宅の実力を確認すべき

断熱性能や気密性は、住宅の快適さ・光熱費・健康への影響を左右します。グラン・スマートは数値上の高性能を掲げていますが、実際に住んだときにその効果が感じられるかが重要です。カタログ数値だけでなく、実例や他シリーズとの比較も含めて判断する必要があります。

UA値0.25・C値0.59は標準仕様で実現可能

グラン・スマートは、断熱等性能等級7（HEAT20 G3相当）に対応するモデルです。この性能は、住宅の外皮から逃げる熱を最小限に抑えることを意味し、冬でも室温15℃を下回りにくい住環境を実現できます。

項目	内容
UA値（外皮平均熱貫流率）	約0.25W/㎡K（目安値）
C値（相当隙間面積）	0.59cm²/㎡（平均実測値：一条公式）
等級適合	断熱等性能等級7に標準対応
HEAT20基準	G3レベルに該当

断熱性能を高める要因として、外内ダブル断熱構法（内側140mm＋外側50mmウレタン）と、樹脂トリプルサッシ（U値0.73W/㎡K）を標準採用している点が大きく貢献しています。断熱材や窓からの熱損失が大幅に抑えられます。

UA値・C値ともに国内トップクラスの数値であり、かつ標準仕様でこの性能を実現していることは、家全体の温熱環境を大きく左右するポイントです。

ロスガード90が快適性と省エネに大きく貢献

全館換気システム「ロスガード90」は、グラン・スマートの快適性と省エネ性において重要な役割を担います。第1種換気（機械給排気）に分類され、室内の熱を外に逃さず、外気を暖めて取り入れる仕組みです。

関連記事：一条工務店ロスガード90と「うるケア」は生活スタイル適合で選ぶべき

温度交換効率 最大90％

外気の冷たさを直接入れず、室内温度との温度差を小さく保つことで暖房効率が向上します。

冬の暖房費削減効果（試算例あり）

一般住宅の暖房費：約59,000円／年 → ロスガード採用で約19,000円／年に減少する例も。

湿度調整機能付き換気（「うるケア」対応）

加湿・除湿機能を兼ね備え、冬の乾燥や夏の蒸し暑さを軽減します。

空気の清浄性向上

PM2.5・花粉・粉塵対策のフィルター搭載により、アレルギー対策にも有効です。

ロスガード90は単なる換気設備ではなく、光熱費・健康・住み心地のすべてに直結する要素です。加湿機能を組み合わせれば、冬の乾燥による体調不良のリスクも大きく減らせます。

断熱・気密性能は現場施工品質で左右される

グラン・スマートは設計上の性能が高くても、施工現場の対応次第でその効果が失われることがあります。注意すべき実例は以下の通りです。

EPS断熱の欠損・充填ミス

設備配管周辺や角部にウレタンが充填されていない箇所が見つかることがあり、熱損失の原因となります。

気密処理の甘さによるC値のばらつき

気密テープの施工不良や、開口部の調整ミスによってC値が0.4〜0.7の範囲で上下する事例があります。

設備スペースでの断熱施工抜け

太陽光配線、太陽熱利用機器、空調ダクトの通る床下や天井裏で断熱材の施工が不完全になる例が報告されています。

数値で示される性能は、あくまで設計上のものであり、現場の施工品質を担保する仕組み（チェック体制・第三者検査など）があるかどうかが、住まいの性能を守る鍵になります。

他モデルと比べて断熱・気密性能が同等以上

グラン・スマートは、一条工務店の他モデルと比べて、同等または上位の断熱・気密性能を有しています。シリーズ間の性能差は以下のとおりです。

項目	グラン・スマート	i-smart	グランセゾン
断熱等級	等級7（HEAT20 G3）	等級7（HEAT20 G3）	等級6相当（G2水準）
UA値（目安）	約0.25W/㎡K	約0.25W/㎡K	約0.34〜0.38W/㎡K
C値（平均）	0.59cm²/㎡	0.59cm²/㎡	0.65〜0.7cm²/㎡
窓仕様	樹脂トリプルサッシ	樹脂トリプルサッシ	樹脂ペア／オプションでトリプル可
換気方式	ロスガード90（第1種）	ロスガード90（第1種）	ロスガード90または別方式

※数値はいずれも公表または実例ベースの目安

この比較から、グラン・スマートはi-smartとほぼ同等の断熱・気密仕様でありながら、デザインと価格バランスで優れる選択肢であることが見て取れます。グランセゾンは内装や空間重視のモデルであり、性能面では明確な差があります。

「冬でも床暖房がすぐ効く」「朝起きたときの寒さがない」「湿度が安定している」──グラン・スマートの断熱・気密・換気性能は、こうした日常の快適さを支える基礎です。数値と体感の両方を見て判断することが、住宅性能を選ぶもっとも確かな方法です。

オプション選定で満足度とコストの最適化が可能

一条工務店は標準仕様の性能が非常に高い反面、見た目や快適性を求めてオプションを追加していくと、あっという間に数百万円の増額につながることがあります。オプション選定の成否は、住み心地だけでなく、将来の満足度や後悔にも直結します。

よく導入される人気オプションと費用相場を把握

標準でも十分な性能を持つ一条工務店ですが、暮らしの快適さや利便性を求めて導入されることの多いオプションがあります。

カップボード（キッチン収納）

デザイン統一・収納力向上のために導入されやすい。サイズによっては15〜30万円。

eエントリー（スマートキー仕様）

玄関の開錠を非接触で行えるオプション。2〜3か所セットで約8〜12万円。

ハニカムシェード電動化

窓ごとの開閉操作を自動化でき、利便性と省エネ効果を兼ねる。1か所あたり2万円前後、複数導入で10万円以上。

深基礎／布基礎変更

傾斜地・地盤補強などで選ばれることが多く、追加で30万〜50万円。

さらぽか空調（床下冷暖房システム）



全館空調に近い快適性を実現する高機能オプション。80万〜120万円前後が目安。

関連記事：さらぽか空調と「うるケア」どっちが正解？一条工務店で後悔しないための判断基準

これらは人気の高い定番オプションですが、導入数と組み合わせ次第で100万〜150万円の追加コストが発生します。

累積で数百万円の増加を招く選定の注意点

一見便利なオプションも、選びすぎると本体価格に対して大幅な増額となる場合があります。以下は、費用が跳ね上がる要因として注意したいポイントです。

オプション32点追加で総額＋160万円超

カップボード・照明変更・電動シャッター・高断熱玄関ドアなどを細かく積み上げた結果、当初の見積もりに対して160万円以上の増加になった実例あり。

水回り仕様変更で＋60万〜80万円

キッチン・洗面台・浴室のデザイン変更（LIXILなど）や設備追加で、1か所20万円以上のアップが複数箇所で発生。

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コンセント・照明・電動系オプションの累積

EVコンセント、外部照明、防犯カメラ用電源、調光式ダウンライトなどを各所に設置した結果、合計30万〜50万円増となるケースがある。

「1つひとつは小額でも、10点以上選ぶと200万〜300万円級になる」ことは珍しくありません。

標準仕様とオプションの優先判断基準が重要

オプションを入れなくても快適な暮らしが可能な設備も多数あります。一方で、後から対応が難しい部分については初期導入が推奨されます。

項目	標準で十分 or 推奨理由	オプション推奨判断基準
全館床暖房	標準で全室対応済	必要なし
換気システム	ロスガード90で対応済	加湿機能（うるケア）は状況に応じて検討
断熱・サッシ	標準仕様で断熱等級7対応	寒冷地以外では追加不要
外壁総タイル	メンテ不要で長期的に有利	他デザインとの比較による選択
室内建具・収納	標準デザインで統一感あり	色・素材の好みによって選択
キッチン・洗面台	標準でも機能性は十分	見た目や使い勝手にこだわる場合は変更
電気・照明設備	最低限の配線は含まれている	生活動線やスマート化目的での追加導入

「標準仕様をベースに、必要最小限のオプションを加える」ことが、費用対効果の高い家づくりの基本です。

仕様キャンペーン活用で追加費用を抑える戦略

一条工務店では、時期限定で仕様アップグレードや無償オプションが提供されるキャンペーンが行われることがあります。これをうまく活用することで、費用を抑えつつ設備グレードを上げることが可能です。

キャンペーン時期：春・秋の展示場集客期（4〜6月、9〜11月）に多い

年度末や新商品発表後の時期に集中しやすい傾向があります。

内容例：キッチン無償グレードアップ、カップボード無料追加など

通常10万〜30万円相当の仕様追加が無料になることも。



しょーすけ

展示場キャンペーンを活用すれば数十万円の節約も可能です。

注意点：契約前に適用条件の確認が必須

契約後の申請や時期ずれでは適用外になるため、営業担当との確認が不可欠です。

キャンペーン情報は非公開であることが多く、モデルハウス訪問時や担当者との打ち合わせで初めて提示される場合もあるため、早めに確認しておくことが重要です。

住んでからの光熱費と室温実態を事前に把握すべき

家づくりで「断熱性能が高い」と説明されても、それが生活費や体感温度にどう影響するかまでは想像しづらいものです。グラン・スマートは高性能な断熱・換気・床暖房を標準装備していますが、実際の暮らしではその効果に個人差もあります。光熱費や室温の推移をリアルに知ることは、失敗しない家づくりに直結します。

月別の電気代実例から想定コストを把握可能

オール電化住宅であるグラン・スマートでは、光熱費の大部分が電気代に集約されます。家族構成や使い方で差は出ますが、平均的な4人家族での実例は以下の通りです。

月	電気代（平均）	暖冷房の使用傾向
1月〜2月	25,000〜35,000円	床暖房＋エアコンフル稼働、加湿器使用
3月〜4月	18,000〜22,000円	床暖房控えめ、エアコン間欠運転
5月〜6月	12,000〜16,000円	冷暖房ほぼ不要
7月〜8月	20,000〜28,000円	エアコン冷房運転が中心
9月〜10月	14,000〜18,000円	一時的に冷暖房使用
11月〜12月	18,000〜25,000円	床暖房再稼働、エアコン補助あり

※延床面積30〜35坪、4人世帯、太陽光発電なしの一般的な事例を基に作成

一部の寒冷地や電気単価の高い地域では5万円超えの月もあるという報告もありますが、太陽光＋蓄電池を導入した家庭では年間電気代実質ゼロ〜数万円台に抑えられる例もあります。

住宅性能が高くても、生活スタイル・契約プラン・設備構成で電気代は大きく変動するため、「予算を組むなら冬の最大値＋月平均で見積もる」のが現実的です。

室温と湿度の安定性が快適性を支える要因

断熱性能の高さは「暖まりやすさ」より「冷めにくさ」に表れます。グラン・スマートの断熱等級7・気密C値0.59の仕様は、季節ごとの体感温度と湿度の安定性に直結します。

冬（1月〜2月）

朝6時の室温が18〜20℃を維持。床暖房のみでエアコンを使わなくても寒さを感じない日もある。湿度は加湿器なしでは35〜40％台に低下しやすく、うるケアや加湿器の併用が望ましい。

夏（7月〜8月）

夜間外気温28〜30℃でも室温26℃前後を維持。冷房は短時間運転で済み、日中の外出時に室温が上がりにくい。湿度は換気＋除湿で50〜60％台に安定する例が多い。

「家全体が同じ温度で維持される」ことにより、冷暖房の負担が小さく、ヒートショックリスクも軽減される点がグラン・スマートの最大の快適性です。

高断熱により冷暖房の稼働効率が高まる構造

家の断熱・気密性能は、冷暖房設備の稼働効率にも大きく影響します。以下は、エアコン・床暖房それぞれの一般的な稼働時間例と体感維持状況です。

エアコン（夏）

1日あたり稼働時間：4〜8時間程度。
運転時間を短くしても室温が下がりにくいため、短時間運転で冷気を維持可能。日中の留守中でも帰宅時に室温が極端に上がっていないという声が多くあります。

床暖房（冬）

稼働時間：24時間連続 or 夜間タイマー運転。
一条の床暖房は低温設定での連続稼働が基本。設定温度21〜23℃で、家全体の床面が均一に暖まり、局所的な寒さを感じにくい構造です。

「長時間稼働しても熱が逃げにくい」「短時間稼働でも快適が続く」──この両立が、光熱費と快適性を両立させるグラン・スマートの隠れた強みです。

地域特性に応じた設計で全国で快適に暮らせる

住宅性能は建物単体の数値だけでなく、その性能が「地域の気候」に合っているかで評価が変わります。グラン・スマートは高性能仕様を標準としていますが、北海道から沖縄まで対応できるかどうか、具体的な仕様と制約を把握しておくことが欠かせません。

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北海道・東北でも断熱等級7を標準仕様で実現可能

冬の気温が氷点下を下回る地域では、断熱・気密性能の高さだけでなく、構造の寒冷地対応が求められます。グラン・スマートでは以下の強化仕様が採用されています。

標準仕様で断熱等性能等級7（HEAT20 G3相当）に対応

北海道・東北でも追加断熱なしで等級7クリアが可能。

トリプル樹脂サッシを全窓に標準採用

窓のU値は0.73W/㎡Kと高性能。熱損失がもっとも大きい窓部分の断熱を確保。

高断熱玄関ドア（U値0.46W/㎡K）を標準装備

外気温−10℃の地域でも、玄関付近の寒さを感じにくい設計。

床下断熱・全館床暖房の相乗効果

床からの冷気侵入を抑え、脱衣所やトイレでも室温を維持。

グラン・スマートは、北海道・東北エリアでも追加オプションなしで寒冷地仕様に近い快適性が得られる点が大きな強みです。

台風や豪雨への構造対応が標準で確保されている

台風や集中豪雨のリスクがある地域では、住宅の構造強度と耐風・耐水設計が快適性と安全性を大きく左右します。

サッシの耐風圧性能

風速34m/s以上を想定した構造強度で設計されており、沿岸部でも耐久性を発揮。

ツインモノコック構造（高耐震＋高耐風）

木造でありながら箱型構造により建物の変形を抑える。強風時も躯体の揺れが少ない。

屋根形状と雨仕舞構造

切妻屋根とフラット屋根が選択可能で、どちらも防水処理を多重層化し、雨水侵入を抑制。

樋・排水計画の耐豪雨対応

排水能力を高めた外構設計が可能で、ゲリラ豪雨時の溢水リスクを軽減。

風圧・豪雨に対する構造上の安全対策が標準仕様で組み込まれており、台風常襲地域でも安定した居住性能が期待できます。

高温多湿地域でも結露を抑える換気と構造が有効

梅雨・夏季の湿度が高い地域では、室内の結露・カビ・熱中症リスクへの対策が求められます。グラン・スマートの全館換気＋断熱構造は、この点でも効果を発揮します。

ロスガード90による湿度制御

湿度交換型の第1種換気で、外気の湿度をコントロールしながら給気。

加湿・除湿の自動調整（うるケアシステム）

高湿度時には除湿、冬は加湿を行うオプションで室内湿度を50〜60％に保ちやすい。

外壁・断熱材内の防結露構造

ウレタン断熱材＋透湿防水シートの二重構造により、壁内部での結露を防止。

室温安定による冷房稼働の抑制

断熱性能により熱の侵入を防ぎ、エアコンの稼働時間を短縮。電気代・湿度上昇を抑える。

高温多湿な地域においても、結露・カビの発生を抑え、夏の冷房効率を維持する設計がされている点は安心材料となります。

土地条件により建築制限がある地域の確認が必須

性能が高くても、物理的に建てられない地域が存在することも忘れてはいけません。以下のような制限条件には注意が必要です。

条件	内容
高雪地域	雪荷重規制により屋根構造が地域基準を満たさない可能性がある
土砂災害警戒区域・崖条例地域	基礎構造の制限により施工が認められない場合がある
風荷重制限区域	特殊構造計算が必要で追加費用が発生する場合がある
小規模変形地・狭小地	ツインモノコック構造の都合で柔軟な変形設計が難しく、非対応の可能性

グラン・スマートは全国対応の基本仕様を持ちながら、一部の土地条件では建築不可または制限付きになる場合があるため、土地選びの段階から施工可能かどうかを確認しておくことが重要です。

事前対策で契約・施工・保証のトラブルを回避可能

どれほど性能や仕様が優れていても、家づくりでは「想定外の落とし穴」が契約前後に潜んでいます。グラン・スマートも例外ではなく、見積もり・設計・引き渡し・アフターまで、事前に知っておくことで回避できる問題が数多く存在します。

仮契約時は返金条件の書面確認が不可欠

家づくりの初期段階でのトラブルで多いのが、仮契約後の「説明不足による解約時の返金問題」です。一条工務店では、契約フローに以下のようなステップがあります。

仮契約時に10万円程度の申込金が必要

この申込金は「土地探し」「概算見積もり作成」「初期設計」を進めるための前金。

解約時の返金条件が不明瞭なケースがある

営業担当によって説明内容に差があり、「返金不可」「一部返金」などの対応差が報告されている。

書面での確認がないと証明が困難

申込金の扱いや返金条件は、口頭説明だけで進むケースもある。

申込金はあくまで“仮契約の意思表示”であり、本契約ではありません。書面で「返金条件」を必ず残し、領収書や説明資料を保存することが最重要です。

断熱欠損や仕様ミスは工事中の確認で回避可能

断熱性能に定評があるグラン・スマートですが、現場施工においても「施工の質」が伴わなければその性能は十分に発揮されません。実際に報告されているリスクは以下の通りです。

配管・設備周囲での断熱材の欠損

配線スペースや給排水管の施工箇所でウレタン断熱の施工漏れ・剥がれが発生するケースがある。

設計図通りに仕上がっていない部分の見落とし

配線位置や収納棚の高さ・コンセント位置など、実施時の指示と違う仕上がりになることも。

隠蔽部のチェックが困難

壁内や床下の施工精度は施主側からは確認できず、引き渡し後の発覚となりやすい。

工事中の写真撮影を依頼し、重要箇所は「施工中の確認」と「完了後のチェック」を徹底することで、断熱欠損や仕様ミスを未然に防げます。

保証範囲と連絡体制の事前確認がトラブル防止に有効

一条工務店では「30年長期サポート」が謳われていますが、対応の質やスピードには地域や担当差があるため、依頼時には以下の点を押さえておく必要があります。

対応の遅れや内容のバラつき

小修繕の依頼が1か月以上放置されるケースや、補修内容に関する説明不足の声もある。

保証外・対象外の指摘を受けやすい項目

経年劣化・建具のズレ・クロスの割れなどは「対象外」と判断されやすく、対応が有償になる可能性が高い。

アフター専用窓口ではなく、営業経由になることも

連絡窓口が明確でないと、担当が異動している・連絡が取れないといった事態が起こる。

「保証対象は何か」「どこに連絡すればいいか」「対応までの平均日数」などを事前に確認し、書面で残しておくことが、スムーズなアフター依頼の鍵になります。

ツインモノコック構造は将来の間取り変更に制約がある

グラン・スマートは高耐震・高断熱構造である一方、将来的なリフォームや間取り変更に制約が生じる構造でもあります。注意すべきなのは、以下の点です。

ツインモノコック構造による制限



構造壁の位置変更が困難で、間取り変更には構造補強や再設計が必要になる。

天井点検口や床下点検口の位置制約

後からの配管変更や増設が難しく、冷暖房・配線の追加に高コストが発生しやすい。

大開口・吹き抜けの設計変更不可

断熱性を保つための設計制限により、将来的な吹き抜け撤去や天井変更が非現実的な場合がある。

将来「子ども部屋を分割したい」「2世帯対応に変更したい」と考える場合、構造的に柔軟性の低い設計であることを認識した上で間取り計画を立てる必要があります。

判断基準と優先順位整理が後悔しない購入に直結する

住宅は「一生に一度の大きな買い物」であり、後悔しないためには判断基準を具体的に持つことが不可欠です。グラン・スマートは高性能で人気のモデルですが、自分に合った選択かどうかは冷静な比較と情報整理がカギとなります。

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性能と仕様の確認項目を明確に整理すべき

見た目や営業トークに流されず、住宅性能と維持面を冷静に見極めるために確認すべき必須項目です。

UA値・断熱等級（断熱性能の数値と国の等級基準）

グラン・スマートでは標準でUA値0.25、等級7（G3相当）に対応。

C値（気密性の数値）

初期測定あり（C値0.59）だが、現場測定の有無は要確認。

断熱材の種類と施工方法

EPS断熱材の吹付方式。現場での断熱欠損がないかチェック必須。

換気方式の種類と効果

第一種換気（ロスガード90）で、除湿・加湿の機能や掃除のしやすさも要確認。

標準設備と追加オプションの範囲

キッチン・サッシ・収納など、何が標準に含まれているか記録。

保証内容とアフター対応体制

構造保証、設備保証、定期点検の頻度・窓口の明確さを記載。

このチェックリストを使うことで、性能・仕様に関する「抜け漏れのない確認」ができます。

他モデルとの仕様比較で納得判断が可能になる

感覚ではなく、項目ごとに定量的・構造的に比較することで「納得して選べる」判断が可能になります。

比較項目	グラン・スマート	i-smart	グランセゾン
坪単価	約81〜82万円／坪	約85万円〜	約78万円〜
UA値（断熱性能）	0.25（等級7／G3相当）	0.25（等級7）	0.26〜0.28（等級6〜7）
気密性能	C値0.59	C値0.6前後	測定対象外／実測不可あり
外観デザイン	スマートモダン＋温もりの中間	キューブ型・シャープ	ナチュラルモダン系
標準装備	トリプル樹脂サッシ・全館床暖房	同左	ペアガラス中心・床暖房一部
内装自由度	中〜高	低（選択肢固定）	高

※見た目ではなく、「生活性能」や「仕様の自由度」を基準に比較するのがポイントです。

質問と記録の徹底が後悔しない交渉に直結する

契約前後で後悔しないためには、営業担当に「具体的な質問」を投げかけることがもっとも有効です。

• このプランのUA値とC値はどの数値ですか？現場測定はありますか？
• 本体価格と総額の差額見込みはどの程度ありますか？
• 標準に含まれない費用（外構・地盤改良・照明など）は何がありますか？
• オプションでよく選ばれている設備と価格例を教えてください
• 仮契約時のキャンセルや申込金の扱いはどうなりますか？
• アフターサービスの窓口は営業経由ですか？専用部署ですか？
• 高断熱ドアやトリプルサッシが採用できない地域・理由はありますか？
• 将来のリフォームや間取り変更の対応可否について説明してください

その場で答えられない質問ほど、後からトラブルになる可能性が高いため、必ず記録に残すようにしてください。

家族の価値観を明確にして判断軸を定めることが重要

家づくりにおける判断の基準は家庭によって異なります。以下の観点で、何を最優先にするかを家族で明確にしておきましょう。

住む地域の気候とその対策を優先したい

寒冷地や多湿地域での快適性重視（断熱・換気・除湿性能）

将来の家族構成の変化を見越した設計にしたい

子どもの成長・2世帯化・将来の介護や在宅勤務対応など

初期コストよりもランニングコストの安さを重視したい

光熱費、メンテナンス費、設備交換費用の最小化を重視

資産価値や将来の売却を考慮に入れたい

建物性能の数値・保証・大手メーカー施工の安心感を優先

優先順位を決めた上で、「本当にグラン・スマートが自分たちの選ぶべき家か」を冷静に判断できる土台が整います。

一条工務店「グラン・スマート」は買いか？性能・価格・後悔しない選び方

一条工務店のグラン・スマートは、断熱等性能等級7に標準対応しつつ、価格・自由度・設備バランスが取れた高性能住宅です。外観のスマートさと機能性を両立させたい家庭にとって、有力な選択肢となります。

しかし、同じ「グラン・スマート」でも、住む地域や土地の形状、選ぶ仕様やオプション、営業担当の対応によって、費用・快適性・満足度は大きく変わります。断熱性や気密性能のような数値だけでは判断できない、「見積もりに含まれない費用」「施工品質」「アフターサポートの実態」などを踏まえて、実態に即した比較と確認が不可欠です。

購入を検討する際は、家族構成・将来設計・気候特性・予算感の中で優先順位を明確にした上で、判断軸を持って選ぶことが、後悔しない家づくりの第一歩になります。

情報を整理し、質問を重ね、比較を怠らないこと。それが、理想の暮らしを現実にする最短ルートです。