注文住宅・建売・セミオーダーを比較。予算と期間の優先順位で「自分に合う家」は決まります

「注文住宅の見積もりが予算を数百万円もオーバーしてしまった」「建売は安いけれど、断熱性や耐震性が不安」。

理想と現実の狭間で、どの選択肢が自分にとっての正解なのか分からず、家づくりが止まってしまっていませんか？

この記事では、2024年の最新調査データに基づいた「実際の建築費用」や「入居までの期間」など、客観的な数字を用いて3つのスタイルを徹底比較しました。

• フルオーダーとセミオーダーの建築費「約530万円」の差
• 契約から入居までの期間比較（最短1ヶ月 vs 1年以上）
• 「注文住宅なのに建売みたい」を避ける失敗回避術

結論からお伝えすると、コストパフォーマンスと性能のバランスを重視するなら、フルオーダーより平均約530万円も安く済む「セミオーダー」がおすすめです。

もちろん、入居を急ぐなら「建売住宅」、100%の理想を叶えたいなら「フルオーダー住宅」と、優先順位によって選ぶべき道は明確に分かれます。この記事を読み終える頃には、どのスタイルが自分たちに合っているか迷わず判断できるようになります。

予算・自由度・期間の優先順位で「自分に合う家」が決まる

理想の家づくりを成功させるためには、各住宅タイプの「強み」と「弱み」を正しく理解しておくことが欠かせません。

予算を重視するのか、デザインや性能にこだわるのか、それとも入居時期を優先するのか。まずは以下の比較表で、それぞれの特徴を整理してみましょう。

比較項目	建売住宅	セミオーダー	注文住宅
初期費用	◎ 安い （総額が明確）	◯ 中間 （予算管理しやすい）	△ 高い （変動しやすい）
維持費	△ 高リスク （断熱性次第）	◯ 中間 （標準性能による）	◎ 低い （ZEH化しやすい）
設計自由度	× 不可 （完成済み）	◯ 選択制 （一部変更可）	◎ 完全自由 （ゼロから設計）
入居時期	◎ 早い （即〜3ヶ月）	◯ 標準 （5〜8ヶ月）	△ 遅い （1年以上）

※維持費＝ランニングコスト（光熱費・メンテ費）。入居時期は契約からの目安期間です。

初期費用の安さなら「建売」、入居後の光熱費を抑えるなら「注文住宅」

表を見るとわかるように、初期費用をもっとも抑えられるのは「建売住宅」です。土地と建物がセットで販売されており、規格化による大量発注などで建築コストが安くなっています。

一方で、「注文住宅」は初期費用がもっとも高くなりますが、断熱性や気密性を高めるZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）仕様にしやすく、住み始めてからの光熱費を大幅に削減できるのがメリットです。

その中間に位置するのが「セミオーダー住宅」です。注文住宅ほどのコストをかけずに、建売住宅よりも高い性能や自由度を確保できるため、コストパフォーマンスを重視したい方に選ばれています。

手間を省きつつ「自分らしさ」も叶えられるセミオーダー

設計の自由度は、家づくりにかかる「手間」と直結します。それぞれの特徴を見てみましょう。

注文住宅（フルオーダー）

間取り、設備、建材すべてをゼロから決めるため、理想を追求できますが、度重なる打ち合わせと長い工期が必要です。

建売住宅

完成品を見て選ぶため、購入後のイメージギャップが少なく、手間もかかりませんが、間取りや設備の変更はできません。

セミオーダー住宅

プロが用意した基本プランから選び、一部をカスタマイズする方式です。「失敗しない間取り」をベースに自分らしさをプラスできるため、時間とこだわりのバランス良く進められます。

まずはこの表を参考に、「予算重視なら建売」「こだわり重視なら注文」「バランス重視ならセミオーダー」と、自分たちの優先順位に当たりをつけておくと、迷わず判断できるようになります。

建築費だけでなく「将来かかるお金」も含めて比較する

「理想を追い求めたら予算が足りない」「安さを選んで後悔したくない」という悩みは、家づくりにつきものです。しかし、曖昧なイメージだけで判断してしまうと、後で困ることになりかねません。

最新の調査データに基づく「リアルな金額差」を知っておけば、資金計画の解像度は劇的に上がります。初期費用だけでなく、将来かかるコストまで見据えて賢く選んでいきましょう。

セミオーダーならフルオーダーより約530万円安く建てられる

同じ「注文住宅」でも、フルオーダーとセミオーダーでは建築費用に大きな開きがあります。

2024年の調査によると、土地代を除く建築費用の平均は以下の通りです。

• フルオーダー：平均3,515万円
• セミオーダー：平均2,984万円

その差額は、平均で約531万円にも上ります。

なぜこれほどの差が生まれるのでしょうか。

コストダウンの主な要因は以下のとおりです。

• 設計の手間を削減：ゼロから図面を引くフルオーダーに対し、規格化されたプランを活用することで設計コストや打ち合わせ時間を大幅に短縮できます。
• 部材の共通化：標準仕様の建材や設備を大量に仕入れることで、単価を抑えつつ品質を維持することが可能です。

この浮いた530万円の使い道をイメージしてみてください。

新居に合わせて家具・家電をグレードアップしたり、お子様の教育資金や老後の蓄えに回したりすることも可能です。「こだわり」と「予算」のバランスを取りたい方にとって、セミオーダーはとても合理的な選択といえます。

建売住宅が安い理由を知り、総費用の2〜3割を占める諸経費も忘れない

「建売住宅」の価格が抑えられているのには、はっきりとした理由があります。

• 土地とセット販売：まとまった土地を開発し分割して販売するため、1区画あたりの土地仕入れ値を抑えられます。
• スケールメリット：同じ仕様の建物を同時に複数建てることで、材料費や人件費を効率的に削減しています。
• 設計費の削減：画一的なプランを採用し、個別の設計料をカットしています。

ここで気をつけたいのが、表示価格に含まれる範囲の違いです。

建売住宅は基本的に「土地代＋建物代」の総額で表示されますが、注文住宅やセミオーダー住宅の建築費には「土地代」が含まれていません。

全国平均で約2,331万円の土地取得費が別途必要になることを、資金計画に入れておく必要があります。

さらに、どの住宅タイプを選んでも、本体価格以外に「隠れた費用」がかかります。

費用の種類	内容	費用の目安
別途工事費	地盤改良工事、外構工事、ガス・水道工事など	総費用の15〜20%
諸費用	登記費用、ローン手数料、火災保険料、税金など	総費用の5〜10%

これらは総費用の20〜30％を占める大きな出費です。「建物の値段＝総額」ではないことを理解して、余裕を持った資金計画を立てておくと安心です。

高性能なZEH仕様なら、光熱費を月々約7,000円も節約できる

目先の「安さ」だけで住宅を選んでしまうと、住み始めてからの出費でトータルコストが高くなる心配があります。

特に建売住宅の場合、断熱性能や気密性が最低限の基準（等級4など）に留まることがあり、冷暖房効率が悪くなって光熱費が高くなる可能性があります。

一方で、初期費用をかけて高性能な住宅（ZEHなど）を建てれば、毎月のランニングコストを大幅に抑えられます。

ZEH導入による経済効果

• ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）導入者の光熱費削減実感額は、平均で月額7,161円です。

月々約7,000円の節約は、35年間で約300万円もの差になります。

また、耐久性の高い建材を使った注文住宅やセミオーダー住宅は、外壁塗装などのメンテナンス頻度が少なく済み、維持費を抑えやすいのも特徴です。

「買うときの安さ」か「住んでからの安さ」か。

30年、40年と住み続けるマイホームだからこそ、長い目で見てコストを比べることが大切です。

平屋や特殊な間取り、性能の高さで選ぶなら注文住宅かセミオーダー

「リビングを広くしたい」「憧れの平屋に住みたい」「大地震が来ても安心な家がいい」。こうした理想や不安に対して、どの住宅タイプならしっかり応えてくれるのか気になりますよね。

間取りの自由度や住宅性能は、毎日の快適さだけでなく、万が一のときの安全性や資産価値にも関わる大切なポイントです。

それぞれのスタイルの「できること」と「できないこと」を比べて、あなたの理想を叶える選択肢を見つけていきましょう。

こだわりの平屋や変形地なら「注文住宅」がもっとも得意

間取りの自由度は、土地の条件や叶えたい暮らし方によって大切さが変わります。

特に最近人気の「平屋」や、特殊な土地への対応力にははっきりとした差があります。

住宅タイプ	間取り自由度	特殊条件・平屋への対応
注文住宅	◎ 完全自由	変形地や二世帯も自在。 平屋も自由に設計可能。
セミオーダー	◯ 選択制	規格内なら可能。 規格外の変更は割高に。
建売住宅	× 変更不可	完成品のみ。 平屋の物件は極めて少ない。

注文住宅（フルオーダー）

変形地や狭小地、二世帯住宅、防音室といった特別な要望にも柔軟に応えられます。

特に人気の「平屋」は、注文住宅を建てる人の22.1%が選ぶほどですが、広い敷地や複雑な設計が必要になることが多いため、自由設計の強みが一番発揮される分野です。

セミオーダー住宅

メーカーが用意した基本プランの中に、希望に合う平屋プランがあれば費用を抑えて実現できます。

ただし、壁の位置を大きく動かすなど「規格外」の変更をしようとすると、追加費用がかかって注文住宅と変わらない金額になる可能性があるので注意が必要です。

建売住宅

完成済み、または設計済みの物件を購入するため、間取りの変更はできません。平屋の建売物件は数がとても少なく、希望のエリアで見つけるのは難しいのが現実です。

建売住宅を選ぶときは「耐震・断熱等級」のチェックが欠かせない

「新築ならどれも性能は同じ」と思っていませんか？実は、住宅タイプによって「標準仕様」として設定されている性能レベルに大きな差があります。

特に建売住宅を検討する場合は、安さの裏にあるスペックをしっかり確認しておくことが大切です。

建売住宅は「耐震等級1」「断熱等級4」が標準の場合もある

コストを抑えるため、建築基準法ギリギリの「耐震等級1」や、最低限の「断熱等級4」が標準仕様になっている物件も少なくありません。

これ以上の性能を求めても、そもそも対応していなかったり、追加工事が必要になったりします。購入前には必ず設計図書を確認し、耐震・断熱等級の数値をチェックしておくと安心です。

注文・セミオーダーなら最高ランクの性能が標準で安心

多くのハウスメーカーや工務店では、最高ランクの「耐震等級3」や、ZEH（ゼッチ）水準の「断熱等級5以上」を標準仕様にしています。

初期費用は高くなりますが、それは「家族の命を守る安全性」と「快適な室内環境」をお金で買っているともいえます。

長く安心して住み続けるために、目に見えるデザインだけでなく、目に見えない「性能の基準値」で比べることが失敗しない家づくりのポイントです。

入居までの期間と「かけられる手間」で無理のない計画を立てる

「子どもの小学校入学までに引っ越したい」「今の賃貸の更新時期に合わせて家を建てたい」。家づくりには、こうした「タイムリミット」がつきものです。

しかし、選ぶ住宅タイプによって、契約から入居までにかかる期間は1年以上も変わってきます。

たとえ理想の家ができても、希望の時期に入居できなければ、生活設計が大きく狂ってしまいます。また、完成までのプロセスにかかる労力も、タイプによって天と地ほどの差があります。

ご自身のスケジュールと体力に合った選択肢を見極めることが、後悔のない家づくりの第一歩です。

入居を急ぐなら「建売」、こだわりと期間のバランスなら「セミオーダー」

まずは家づくりのゴールとなる「入居日」から逆算して、どのタイプなら間に合うのかを確認しておきましょう。

特に土地を持っていない場合は、土地探しに数ヶ月から半年以上かかることもあるため、さらに余裕を持った計画が必要です。

各住宅タイプの入居までの目安期間は以下のとおりです。

建売住宅：最短1ヶ月〜3ヶ月

建物がすでに完成している、または完成間近であるケースが大半です。住宅ローンの審査さえ通れば最短1ヶ月程度で即入居が可能なため、急な転勤や入学シーズン直前でも間に合わせることができます。

セミオーダー：5ヶ月〜8ヶ月

基本的な仕様が決まっているため、ゼロから設計する注文住宅に比べて設計期間を大幅に短縮できます。こだわりを実現しつつ1年以内に入居したいという要望に応えられる現実的な選択肢です。

注文住宅：1年以上

土地探し、設計士との度重なる打ち合わせ、工事期間を含めると、入居までに1年〜2年以上かかることが一般的です。期間に余裕があり、じっくり時間をかけて理想を追求できる方に向いています。

毎週の打ち合わせが大変なら、効率的な「セミオーダー」がおすすめ

家づくりは契約して終わりではありません。そこから始まる「打ち合わせ」こそが、もっともエネルギーを使う工程です。

すべてを自分で決める注文住宅は、時間と体力が必要

完全自由設計の注文住宅では、間取りはもちろん、床材の種類、窓の大きさ、壁紙、そしてコンセントの位置や数ひとつに至るまで、すべて自分たちで決定しなければなりません。

着工までに半年以上の打ち合わせ期間がかかり、毎週のように休日はハウスメーカーとの商談で埋まってしまうこともあります。完成までの道のりが長いことを、あらかじめ心づもりしておくと安心です。

「失敗しないプラン」から選べるセミオーダーなら効率的

一方で、セミオーダー住宅は、プロがあらかじめ厳選したプランや仕様の中から「選ぶ」スタイルです。

「ゼロから考えるのは大変だけど、建売では物足りない」という方にとって、「失敗しない選択肢」から効率よく選べる点は大きなメリットです。

プロが考えた動線やデザインをベースにするため、大きな失敗を防ぎつつ、自分好みのカスタマイズを楽しむ余裕が生まれます。

コストとこだわりの両立。賢く家を建てるなら「セミオーダー」

「建売住宅では満足できないけれど、フルオーダーは予算も手間もかかりすぎる」。そんな悩みを解決する「第3の選択肢」として、セミオーダー住宅が注目されています。

あらかじめ用意されたプロの設計プランをベースにすることで、コストを抑えながら高い住宅性能や自分らしいこだわりを実現できるのが一番の魅力です。

単なる妥協ではなく、賢く理想の家を手に入れるための選択肢として、その特徴と注意点を詳しく見ていきましょう。

注文住宅の約2割が選ぶ、失敗の少ない「賢い選択肢」

「予算は抑えたいが、建売のような画一的な家は嫌」「性能やデザインにはこだわりたい」。そんな願いを叶えてくれるのがセミオーダー住宅です。

実際に、注文住宅を建てた人のうち約2割にあたる18.7%がセミオーダーを選んでおり、現実的で賢い選択肢として定着しています。

選ばれる理由は、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンス（時間対効果）のバランスの良さにあります。

コストを抑えられる

規格化された部材を使うことで、フルオーダーに比べて建築費用を大幅に抑えられます。浮いた予算でキッチンのグレードを上げるなど、こだわりたい部分にお金をかけることも可能です。

設計の品質が安心

プロが考え抜いた動線や構造計算済みのプランがベースになるため、ゼロから設計するよりも失敗が少なく、耐震性や断熱性などの住宅性能を確保しやすくなります。

手間が少ない

膨大なカタログからすべてを選ぶ必要がなく、厳選された選択肢から決めていくため、打ち合わせ回数が少なくて済みます。忙しい共働きのご家庭でも、スムーズに家づくりが進められます。

「どこまで変更できるか」を最初に確認しておけば、後悔なく進められる

メーカーによっては「規格住宅」と「セミオーダー住宅」の線引きがあいまいなこともありますが、一般的にはカスタマイズできる範囲に違いがあります。

ここを勘違いしたまま契約してしまうと、「思ったより自由に変更できなかった」という後悔につながりかねません。以下の違いを整理しておきましょう。

住宅タイプ	一般的な特徴と変更範囲
規格住宅	決められたプランから選ぶのが基本。 変更は外壁の色や壁紙、一部のオプション追加程度に限られることが多い。
セミオーダー	基本プランをベースにカスタマイズが可能。 間仕切り壁の移動による部屋の広さ変更や、設備のグレードアップに対応できる。

トラブルを避けるための大切なポイントは、契約前に「どこまで変更できるか」を書面で確認しておくことです。

「間取りの変更はできるか」「窓の位置やサイズは変えられるか」「標準外の設備を入れる場合の追加費用はいくらか」。これらを具体的に質問し、納得したうえで契約に進めば、満足度の高い家づくりができます。

予算のメリハリと画像活用で「建売に見える」を防ぐ

せっかく注文住宅を建てたのに、「仕上がりが普通の建売住宅と変わらない」と後悔してしまうケースは意外と少なくありません。自由設計だからこそ、陥りやすい落とし穴があるのです。

あなただけのオリジナリティある住まいにするために、よくある失敗パターンとその具体的な対策を知っておきましょう。

予算は「リビング」に集中投下。メリハリをつければ満足度は下がらない

設計の最初の段階で要望を詰め込みすぎると、見積もりが予算を大幅に超えてしまいます。

その結果、最終的な調整で内装や設備のグレードを全体的に下げることになり、「特徴のない標準的な家」になってしまうのがよくある失敗例です。

これを防ぐには、予算配分にハッキリとした「メリハリ」をつけることが大切です。

すべての部屋や設備にお金をかけるのではなく、家族が長く過ごす場所や、こだわりたいポイントに予算を集中させましょう。

LDKは徹底的にこだわる

家族が集まるリビングやキッチンはグレードを上げて、空間の満足度を高めます。

個室や寝室は標準仕様

来客の目に入らないプライベートな空間は、標準的なクロスや設備を選んでコストを抑えます。

外観形状はシンプルに

建物の形をシンプルにして建築コストを下げ、浮いた費用をキッチンや外構などの「見せ場」に回します。

また、地盤改良や外構工事、予備費（総予算の5〜10％程度）をあらかじめ考えておかないと、本体工事費を削ることになりかねないので注意が必要です。

予算内で優先順位を決めて「一点豪華主義」を取り入れることが、建売感から抜け出すポイントです。

言葉より「画像」を見せたほうが、プロから良い提案を引き出せる

「プロに任せておけば良い家になるはず」という受け身の姿勢だと、少し心配です。

こちらの要望があいまいなままだと、担当者は失敗を避けるために「無難で標準的な仕様」を提案せざるを得なくなり、個性のない家になりがちだからです。

理想のイメージを共有するには、言葉だけでなく目に見える情報を活用するのがもっとも効果的です。

1. PinterestやInstagramで好みの事例を集める
2. 「絶対にやりたいこと」と「好きな雰囲気」を画像で見せる
3. 画像をもとにプロからの具体的な提案を引き出す

打ち合わせには最低でも3〜6ヶ月の時間が必要です。忙しいからといって打ち合わせを急いだり、回数を減らしたりすると、細部まで検討できずに標準仕様のまま進んでしまうことになります。

「譲れないこだわり」を画像で伝えて、プロの提案とすり合わせる時間をしっかり確保してください。それが、あなただけのオリジナリティあふれる住まいを叶えるカギになります。

予算や期限の優先順位で、あなたにとっての「正解」が決まる

ここまで、費用や性能、期間などいろいろな角度から比較してきました。でも、最後に大切になるのは「現在の状況と優先順位」に合っているかどうかです。

予算の壁、入居したい時期、どうしても譲れないこだわり。それぞれの事情に合わせて、失敗しない選択をするための判断基準を整理しました。自分に当てはまる項目が多いスタイルこそが、あなたにとっての「正解」です。

すぐに入居したい、予算を確定させたいなら「建売住宅」

何よりも「スピード感」と「予算の確実性」を優先するなら、建売住宅がもっともリスクの少ない選択肢です。

契約から最短1〜2ヶ月程度で新生活をスタートできるスピード感は、お子様の入学や転勤など期限が決まっている場合にとても助かります。

また、完成した建物を内覧してから購入を決められるため、「イメージと違った」という失敗がなく、生活動線や日当たりを自分の目で確認できる安心感もあります。

こんな人におすすめ

入居期限が決まっている

子どもの進学や転勤に合わせて、すぐに引っ越す必要がある方。

資金計画を確定させたい

土地と建物の総額が決まっており、オプションによる追加費用の心配をしたくない方。

土地探しや打ち合わせが面倒

土地探しから始める手間や、長期間の打ち合わせを避けたい方。

時間と費用をかけてでも、100%理想を叶えるなら「注文住宅」

時間と費用をかけてでも、「世界に一つだけの理想の家」をつくり上げたいなら、フルオーダーの注文住宅がベストな選択肢です。

間取りやデザインはもちろん、耐震・断熱性能に至るまですべてをゼロから自由に設計できるため、家族のライフスタイルに完全にフィットした住まいが叶います。

特に、狭小地や変形地などの特殊な土地に建てる場合や、防音室・ガレージハウスといった独自のこだわりがある場合は、設計対応力の高い注文住宅を選ぶ必要があります。

こんな人におすすめ

こだわりを妥協したくない

間取り、デザイン、設備など、細部まで自分たちの価値観を反映させたい方。

特殊な条件や要望がある

二世帯住宅、店舗併用住宅、変形地での建築などを検討している方。

予算と時間に余裕がある

完成までに1年以上かかっても問題なく、理想のためならコストをかけられる方。

コスパと性能のバランスよく建てるなら「セミオーダー住宅」

「建売では物足りないけれど、フルオーダーはハードルが高い」。そんな悩みを持つ共働き・子育て世帯にとって、セミオーダー住宅はもっともバランスの取れた賢い選択です。

プロが用意したベースプランを活用することで、フルオーダーよりもコストを抑えつつ、建売住宅以上の自由度と性能を手に入れられます。

耐震等級3などの高い住宅性能を標準仕様としているケースも多く、安心感とコストパフォーマンスの両立を求めている方に選ばれています。

こんな人におすすめ

コスパよくこだわりたい

フルオーダーほどの自由度は不要だが、内装や設備には自分らしさを取り入れたい方。

性能と価格のバランス重視

耐震性や断熱性は妥協したくないが、予算内で賢く建てたい方。

効率的に家づくりを進めたい

忙しくてゼロからの打ち合わせは難しいが、失敗しないプランから選びたい方。

注文住宅・建売・セミオーダー選びの成功談と失敗談

家づくりは、多くの人にとって人生最大のプロジェクトです。だからこそ、実際に建てた人の「生の声」は何よりも参考になる教科書となります。

ネット上には、理想を叶えた喜びの声があふれる一方で、「もっとこうすればよかった」という痛切な後悔の声も少なくありません。

ここでは、注文住宅・建売・セミオーダーそれぞれを選んだ先輩施主たちのブログや口コミから、リアルな成功談と失敗談を厳選してご紹介します。先人たちの経験を知ることは、あなたの家づくりを成功に導くための最強の攻略本となるはずです。

予算内で理想を実現した事例や即入居できた成功体験

実際にそのスタイルを選んで「正解だった」と感じている施主の声です。それぞれのメリットを最大限に活かせたケースが多く見られます。

窓配置やコンセント数の失敗や担当者との相性問題

一方で、「ここが盲点だった」という後悔の声も存在します。特に「こだわり」と「コスト」のバランス調整に失敗の原因が隠れているようです。

プロの知恵を借りて譲れない点に予算をかけるべき

成功者の声に共通するのは、「自分たちの優先順位と選んだスタイルが合致していた」という点です。

成功のポイント

「予算とこだわりのバランス」を重視した人はセミオーダーで満足度が高く、「スピードと実用性」を求めた人は建売で成功しています。

一方で、失敗談からは「自由度の裏返し」と「コストダウンの弊害」が見えてきます。

失敗の落とし穴

注文住宅では「決めることが多すぎて細部まで気が回らない」、規格・セミオーダーでは「安さを優先しすぎて生活の質を落としてしまう」というケースが目立ちます。

これらを踏まえると、「プロの知恵を借りつつ、譲れないポイントにはしっかり予算をかける」という姿勢こそが、どのスタイルを選んだとしても後悔しないための鉄則と言えるでしょう。

注文住宅・建売・セミオーダー選びでよくある質問

家づくりは分からないことだらけで当然です。ここでは、検討中の方が特につまずきやすいポイントをQ&A形式でまとめました。契約前の最終確認としてご活用ください。

Q1. セミオーダーと規格住宅の違いは何ですか？

A. カスタマイズできる範囲の広さが違います。

一般的に「規格住宅」は、用意されたプランの中から選び、変更できるのは壁紙の色や設備の一部に限られるケースが大半です。

一方「セミオーダー」は、基本プランをベースにしつつ、間仕切り壁の位置を変えて部屋の広さを調整したり、収納を追加したりと、間取りの一部変更まで対応できるのが特徴です。

ただし、メーカーによって定義が曖昧なこともあるため、契約前に「具体的にどこまで変更可能か」を確認することが重要です。

Q2. 土地を持っていない場合、土地探しと会社選びはどっちが先？

A. 住宅会社選びと並行して進めるのがベストです。

土地を先に購入してしまうと、土地代にお金を使いすぎて「建物にかける予算が足りなくなる」という失敗が起きがちです。

注文住宅やセミオーダーを検討する場合は、住宅会社に相談しながら「土地＋建物」の総予算バランスを見ながら土地を探すと、失敗のリスクを減らせます。

Q3. 建売住宅の耐震性が心配ですが大丈夫ですか？

A. 法律の基準は満たしていますが、耐震等級の確認を推奨します。

すべての新築住宅は建築基準法（耐震等級1相当）を満たしているため、基本的な安全性は確保されています。

しかし、より高い安全性を求めるなら、消防署などの防災拠点と同等の強さを持つ「耐震等級3」を取得している物件かどうかを確認しましょう。

建売住宅では等級1が標準の場合も多いため、スペック表でのチェックが必須です。

Q4. セミオーダー住宅でもキッチンやお風呂は自由に選べますか？

A. 指定メーカーのラインナップから選ぶ形が一般的です。

フルオーダーのように世界中のあらゆる製品から選べるわけではありませんが、多くのハウスメーカーでは、複数の人気メーカーやグレードから選択可能になっています。

標準仕様以外の設備（海外製食洗機など）を入れたい場合は、オプション対応が可能か、その際の追加費用がいくらになるかを事前に確認しておきましょう。

Q5. 予算オーバーしないためのコツはありますか？

A. 本体価格以外の「見えない費用」まで含めて計算することです。

チラシやカタログに載っている「建物本体価格」だけで判断するのは危険です。

実際には、地盤改良費や外構工事などの「別途工事費」（総費用の約15〜20%）や、登記費用などの「諸費用」（約5〜10%）がかかります。

これらを合わせた総額で資金計画を立て、予備費として5〜10%程度確保しておくと、急な出費にも対応できて安心です。

まとめ｜まずはポータルサイトとカタログで「相場感」を比較してみる

家づくりにおいて、注文住宅・建売住宅・セミオーダー住宅のどれが一番優れている、という正解はありません。あるのは「ご家族の優先順位に合うかどうか」という相性だけです。

「初期費用の安さ」を優先して建売を選ぶのか、「一生もののこだわり」を優先して注文住宅を選ぶのか。あるいは、そのバランスを取ってセミオーダーを選ぶのか。

記事でお伝えした通り、フルオーダーとセミオーダーでは約530万円もの価格差があり、建売と注文住宅では入居までの期間が1年以上も違います。

こうした現実的な数字を踏まえたうえで、まずはご自身の希望エリアの「相場感」をつかむことから始めてみてはいかがでしょうか。

ポータルサイトで建売価格をチェック

希望エリアの建売住宅を検索し、「この場所で家を持つための最低ライン（底値）」を把握しておくと資金計画が立てやすくなります。

カタログを取り寄せて比較検討

気になるメーカーの「フルオーダー」と「セミオーダー」両方のカタログを取り寄せ、標準仕様やプランの自由度を見比べてみてください。

実際の価格や具体的な間取りを目にすれば、漠然としていたイメージが確信へと変わっていきます。

「予算内で最も満足度の高い選択」をするために、まずは手元のスマホで情報を集め、比較することからスタートすることをおすすめします。