注文住宅の期間は平均10ヶ月！希望日に入居する逆算スケジュール術

「注文住宅は完成までどのくらいかかるのか」「子供の入学や転勤に間に合うのか」。家づくりを考え始めると、このような期間に関する不安を感じるかもしれません。

注文住宅の検討を始めてから入居できるまでの期間は、平均して約10〜14ヶ月が目安です。

ただし、これはスムーズに進んだ場合の数字です。土地が見つからなかったり、間取りやデザインに迷ったりして時間がかかると、完成まで2年以上かかるケースも少なくありません。

希望の時期に入居するためには、引き渡しまでの全体スケジュールや、期間が延びやすいポイントを事前に把握しておくと安心です。効率よく進めるためのコツも知っておけば、焦らずに準備を進められます。

「もっと早く動けばよかった」と後悔しないよう、まずは家づくり全体の流れを確認してみてください。全体像がつかめれば、今やるべきことがはっきりと見えてくるはずです。

家づくりにかかる期間は平均10〜14ヶ月！全体スケジュールの全貌

注文住宅を考え始めてから入居するまでの期間は、平均して約10〜14ヶ月が目安です。ただし、土地探しからスタートする場合や、間取りやデザインにじっくりこだわる場合は、1年半から2年近くかかるケースも少なくありません。

家づくりは大きく3つのステップで進んでいきます。全体の流れをつかんでおけば、いつ頃何をすればよいかが自然と見えてくるはずです。

ステップ	期間の目安	主な内容
1. 計画・契約	3〜6ヶ月	情報収集・土地探し・会社選び・契約
2. 詳細設計・申請	2〜4ヶ月	詳しい打ち合わせ・住宅ローン本審査・建築確認申請
3. 工事・引き渡し	4〜6ヶ月	着工・各種検査・引き渡し・入居

※期間はスムーズに進んだ場合の目安です。状況によって変わることがあります。

3つのステップの中でも、特に期間が変わりやすいのが「計画・契約」の段階です。なかなか土地が見つからなかったり、プラン決めに迷ったりして、思った以上に時間がかかってしまうこともあります。

【パターン別】最短ルートと平均ルートの期間比較

家づくりの期間は、状況や建てる家の種類によって半年以上の差が出ることがあります。自分に近いパターンを知っておくと、より現実的なスケジュールが立てやすくなります。

パターンA：最短ルート（期間目安：7〜8ヶ月）

状況

すでに土地を持っている、または建て替えの場合。

住宅タイプ

仕様が決まっている「規格住宅」を選ぶ場合や、スムーズにプランが決まる場合。

特徴

土地を探す時間がかからず、打ち合わせの回数も少なく済むため、最短7〜8ヶ月での入居が可能です。

パターンB：平均〜長期ルート（期間目安：12〜15ヶ月以上）

状況

土地探しからスタートする場合。

住宅タイプ

イチから間取りを決める「完全自由設計（フルオーダー）」の場合。

特徴

希望の土地が見つかるまでに時間がかかり、間取りや設備も細かく決めていくため、完成までに1年以上かかるのが一般的です。

期間に大きな差が出る主な理由は、「土地探しの難しさ」と「打ち合わせの回数」にあります。特に土地探しは運やタイミングにも左右されるため、余裕を持ってスケジュールを組んでおくと安心です。

1. 【計画〜契約】最初の3〜6ヶ月が最大の山場

家づくりにかかる期間の約半分を占めるこの時期は、スケジュールが変わりやすい最大の山場です。納得できる土地や依頼先がなかなか見つからず、ここだけで半年以上かかってしまうケースも少なくありません。

理想の家をスムーズに建てるためには、情報を集めることと、決断するスピード感が大切になってきます。

情報収集・資金計画（1〜3ヶ月）

まずは展示場へ行ったり資料を取り寄せたりして、家族みんなで「どんな家を建てたいか」というイメージを固めていきます。それと同時に進めておきたいのが、現実的な資金計画です。

年収だけで判断せず、将来の暮らしを考えて「無理なく返済できる金額」を計算しておきましょう。ここが曖昧だと、後で予算オーバーになってしまい、計画が最初からやり直しになってしまう心配があるからです。

お金のタイミング

この段階ではまだ建築費用の支払いはありません。ですが、頭金や諸費用として使える自己資金がいくら準備できるかを確認しておくと安心です。

まずやっておきたいこと

家族会議を開き、希望のエリアや間取りについて「絶対に譲れない条件」と「あったら嬉しい条件」を整理し、優先順位をはっきりさせておきましょう。

土地探し・住宅会社選び（3〜6ヶ月）

土地探しと住宅会社選びは、家づくりの土台を決める大切な段階です。ただ、希望条件を100%満たす完璧な土地はなかなか出てこないため、こだわりすぎると決めきれずに時間がかかってしまいます。

駅からの距離や学区、日当たりなど、事前に決めた優先順位に沿って候補を絞り込むことも大切です。スムーズに進めるためには、土地探しと住宅会社選びをセットで並行して行うのがおすすめです。

予算オーバーを防げる

土地と建物の総額バランスを調整しやすくなり、資金計画で失敗するのを防げます。

法律のチェックができる

希望の間取りがその土地で建てられるかどうか、プロの視点で判断してもらえます。

期間を短くできる

土地の契約と一緒に建物のプランニングも進められるため、入居までの期間を短くできます。

住宅会社を選ぶときは、2〜3社を比較してみてください。提案力はもちろん、「この担当者なら信頼できるか」という相性もしっかり見ておくと安心です。

住宅ローン事前審査（1ヶ月〜）

土地の購入申し込みや契約を結ぶ前には、金融機関による住宅ローンの「事前審査（仮審査）」に通っておく必要があります。

「自分は借りられるはず」と思い込んで後回しにするのは避けたいところです。審査には通常2週間〜1ヶ月程度かかり、書類の不備や自営業などの事情があれば、さらに時間がかかることもあります。

審査結果を待っている間に、希望の土地が先に買われてしまう可能性もあります。予算がある程度決まった時点で、早めに審査を申し込んでおくと安心です。

2. 【契約〜着工】詳細プラン決定と申請業務（2〜4ヶ月）

契約を結んだ後は、いよいよ着工に向けて建物の詳細を決めていく段階に入ります。ここで決めた内容は着工後に変更するのが難しく、もし変更できたとしても追加費用がかかったり、工事が遅れたりする原因になります。

間取りの調整から設備のグレード、コンセントの位置まで、暮らしの快適さに関わる大切な項目を一つひとつ決めていくため、集中して取り組みたい時期です。

詳細プラン・仕様の打ち合わせ（本契約後）

契約後の打ち合わせでは、壁紙や床材の色、照明の種類、コンセントやスイッチの位置、キッチンやお風呂の詳しい仕様など、決めるべきことがたくさんあります。

選択肢が多いので迷いやすく、家族で意見が割れたりこだわりすぎたりすると、打ち合わせが長引いて全体のスケジュールが遅れてしまうこともあります。

スムーズに進めるためには、事前にSNSや雑誌で「好みのインテリア画像」を集めておくのがおすすめです。目に見えるイメージを共有することで、担当者との認識のズレを防げますし、より良い提案をもらいやすくなります。

また、このタイミングで大きなお金が動く点も確認しておくと安心です。

手付金の支払い

契約を結ぶときに「手付金（または契約金）」として、建築費の約10%程度を現金で支払うのが一般的です。住宅ローンの融資が実行される前の支払いになるため、自己資金の準備ができているか確認しておきましょう。

建築確認申請・住宅ローン本審査

プランの詳細が固まると、役所や検査機関に対して「建築確認申請」を提出します。建物が法律の基準を守っているかを確認する手続きで、この許可が下りないと工事を始めることができません。

申請と一緒に、金融機関での住宅ローン「本審査」を進め、承認されたら正式にお金を借りる契約である「金銭消費貸借契約（金消契約）」を結びます。

ここで気をつけておきたいのは、申請を出した後のプラン変更はできるだけ避けるということです。

もし申請中に間取りや窓の大きさを変えると、書類の修正や再提出が必要になり、審査のやり直しで数週間ほど遅れてしまいます。予定通りに工事を進めるためにも、変更したい箇所は必ず「申請前」に伝え切るようにしておくと安心です。

3. 【着工〜引き渡し】工事と検査の4〜6ヶ月

契約の手続きが終わると、いよいよ家を形にしていく工事期間に入ります。一般的な木造住宅の場合、着工から完成までは約4〜6ヶ月かかるのが目安です。

この期間は施工会社に任せる部分が大きいですが、すべて任せきりにするのではなく、要所での現場確認や手続きを行うことで、トラブルの少ない質の高い住まいが完成します。

着工・地鎮祭・上棟

工事のスタートにあたり、土地の神様を祀る「地鎮祭」を行うか判断します。最近では行わないケースもありますが、工事の安全を祈り、気持ちの区切りをつける良い機会になります。

また、工事中は音や車の出入りで迷惑をかけることがあるため、着工前に近隣への挨拶を済ませておくと、入居してからも良い関係が築きやすくなります。

工事は基礎から始まり、「上棟（棟上げ）」という工程で柱や梁が一気に組み上がり、家の形が姿を現します。

お金のタイミング

工事の進み具合に合わせて、着工時と上棟時にそれぞれ建築費の約30%ずつを「着工金」「中間金」として支払うのが一般的です。住宅ローンのお金が入る前の支払いとなるため、つなぎ融資などを利用して準備する必要があります。

中間検査・施主チェック

工事の途中に行われる中間検査は、建物の安全性や品質を確かめる、とても大切なタイミングです。行政などの検査に加えて、施主自身も現場へ行ってチェックしてみることをおすすめします。

特に、壁や天井で隠れてしまう構造部分は、完成してからでは確認することができません。図面通りにできているか、自分の目で見ておくと安心です。

断熱材の施工状況

隙間なく詰められているか、天井裏や壁の中を確認します。

配線や配管の位置

コンセントやスイッチのボックス位置が図面と合っているかを見ます。

構造金物の固定

柱や梁を固定する金具が正しく取り付けられているかチェックします。

完成・竣工検査・引き渡し

建物ができあがると、公的な検査を経て、施主が立ち会う最終確認「施主検査（内覧会）」へと進みます。

ここでは、床や壁の傷、汚れがないかだけでなく、ドアや窓がスムーズに動くか、設備がきちんと動作するかなどをしっかり確認しましょう。

もし不具合が見つかった場合は修正工事が必要になり、引き渡しが数週間遅れる可能性もあります。引っ越しの手配は余裕を持って行い、修正にかかる期間も考えておくと焦らずに済みます。

お金のタイミング

引き渡しの時に、建築費の残り（残代金）をまとめて支払います。これと同時に住宅ローンが実行されて口座にお金が入り、登記費用などの諸費用の精算も一気に行われます。

4. 【入居後】本当のゴールは「新生活のスタート」

家の鍵を受け取ったら終わり、ではありません。快適な新生活を気持ちよく始めるためには、引き渡しから入居までの「最後の準備」が大切です。

建物ができても、生活の準備が整っていなければすぐに暮らすことはできません。引っ越しや役所の手続き、将来の税金のことまで考えて、スケジュールを確認しておくと安心です。

引っ越し・家具家電の搬入

「引き渡し日＝入居日」と考えている方は注意が必要です。建物は完成していても、生活に必要な設備がまだ揃っていないことが多いため、実際に入居できるまでには数日から1週間程度の準備期間を見ておくのがおすすめです。

特にカーテンレールやエアコンの取り付け、インターネット回線工事は、引き渡し後に手配することが一般的です。これらが終わっていないと、真夏や真冬に快適に過ごすのが難しくなってしまいます。

カーテン・照明・エアコンの設置

引き渡し直後に作業できるよう、事前に業者を手配して日程を調整しておきます。

家具・家電の搬入

新居の床を傷つけないよう、引っ越しの荷物を入れる前に搬入するのがポイントです。

ネット回線の開通工事

申し込みから開通まで1ヶ月以上かかることもあるため、早めの予約が欠かせません。

各種手続き・税金対応

入居の前後には、ライフラインの確保や住所変更などの手続きがたくさんあります。電気・ガス・水道の準備は、引き渡しの1ヶ月前から進めておくと焦らずに済みます。

また、生活が落ち着いた頃にやってくる「税金」の手続きも忘れないようにしたいポイントです。翌年の確定申告や納税について、今のうちから知っておくと安心です。

ライフラインの開始手続き

電気・ガス・水道の使用開始連絡を入れ、当日から使えるようにしておきます。

住民票の異動（転入届）

引っ越しから14日以内に役所で転入届を出し、新しい住所を確定させます。

住宅ローン控除の確定申告

入居した翌年の2月〜3月に確定申告を行うことで、税金が戻ってくる場合があります。

不動産取得税の支払い

入居後半年〜1年ほどで納税通知書が届きますが、軽減措置の申請も忘れずに行いましょう。

「子供の入学・進学」に間に合わせるための逆算スケジュール

子供の小学校入学や進級のタイミングに合わせて、4月から新しい家で暮らしたいと考える方は多いはずです。しかし、注文住宅は契約から完成までに時間がかかるため、気づいた時には間に合わないというケースも少なくありません。

希望の時期に鍵を受け取るためには、完成のゴールから逆算して、余裕のあるスケジュールを組んでおくことが大切です。

4月入居なら「1年半前の秋」にはスタートすべき

もし4月からの新生活を目指すのであれば、遅くともその1年半前の秋には情報収集や資金計画を始めておくのがおすすめです。

例えば、2027年4月に入居したい場合、2025年の9月〜11月頃には動き始めたいところです。1年半という期間は長く感じるかもしれませんが、土地探しが難航したり、天候で工事が遅れたりすることを考えると、決して早すぎることはありません。

土地探しが長引く可能性

条件の良い土地はすぐに見つかるとは限らず、ここで数ヶ月かかってしまうこともあります。

予定外の遅れ

こだわりのプラン決めに時間がかかったり、資材不足や天候不良で工事が遅れたりすることはよく起こります。

余裕がないときのデメリット

期限に追われて妥協してしまったり、完成が間に合わずに仮住まいの家賃や引っ越し費用がかかったりする心配があります。

余裕を持って動くことで、焦って判断を誤ることを防げますし、納得のいく家づくりができるようになります。

決算期やキャンペーン時期の活用

住宅メーカーの多くは、3月や9月の決算期に合わせてキャンペーンを行ったり、値引きの相談に応じやすくなったりする傾向があります。この時期を狙って契約するのも、費用を抑える方法の一つです。

ただし、このメリットを活かすためには、そのタイミングで「契約」ができるようにプランや見積もりを準備しておく必要があります。

半年前から相談を始める

決算月にいきなり行っても間に合いません。数ヶ月前から打ち合わせを重ねて、信頼関係を作っておくことが大切です。

条件を決めておく

「この金額なら今月契約する」という基準をはっきりさせておくと、担当者も会社への相談がしやすくなります。

スケジュールの確認

キャンペーンには「○月までの着工」といった条件が付くこともあるため、入居希望日と合うか確認しておくと安心です。

お得に建てるためにも、やはり早めのスタートがカギになります。スケジュールをうまく調整して、賢く理想の家を叶えましょう。

計画通りに進まない！期間が延びる「3大原因」と回避策

注文住宅づくりでは、最初の予定通りにすべてが進むことの方が珍しいかもしれません。多くの人が直面する「スケジュールの遅れ」には共通する原因があり、事前にその落とし穴を知っておけば回避することができます。

完成時期を大きく左右する3つのポイントと、その具体的な対策を押さえておきましょう。

原因1：土地探しが難航して決まらない

「もっと良い条件の土地が出るかもしれない」と迷っているうちに、気づけば半年以上過ぎてしまうケースはとても多いです。完璧な土地を求めすぎて決められなくなってしまうと、家づくりそのものがストップしてしまいます。

土地探しが長引けば、その分だけ入居時期も遅れますし、土地の価格変動や住宅ローン金利が上がってしまうリスクも出てきます。

70点の土地でも合格とする

すべての希望を満たす100点の土地は、ほぼないと思っておくと気が楽です。設計の工夫でデメリットを解消できると考え、合格ラインを少し広げてみてください。

建築のプロと一緒に土地を見る

一見すると条件が悪そうな土地でも、吹き抜けで光を入れたり、2階リビングで眺めを良くしたりすることで、理想の暮らしは十分に叶えられます。



しょーすけ

100点満点の土地は存在しません。「70点の土地」でも、設計の工夫次第で理想の暮らしは十分に実現できます。

原因2：プランへの迷いと設計変更（着工後の変更はNG）

「あれもこれも」と要望を詰め込みすぎてまとまらなかったり、一度決めた内容を何度も変更したりすることも、期間が延びる大きな原因です。

特に気をつけたいのが、契約後や着工してからの変更です。図面の修正や再見積もりに何週間もかかりますし、建築確認申請のやり直しになれば、工事を始めることさえできなくなってしまいます。

さらに、工事が始まってからの変更は避けるのが鉄則です。すでに手配した資材のキャンセル料や、現場でのやり直し工事が発生し、工期が大幅に遅れるだけでなく、高額な追加費用がかかってしまいます。

優先順位をはっきりさせる

家族の中で「絶対に譲れないもの」と「妥協できるもの」を整理しておくと、迷う時間を減らせます。

変更は「申請前」まで

建築確認申請を出した後の変更はリスクが大きすぎます。すべての要望は申請前に出し切るつもりで打ち合わせに臨むと安心です。



しょーすけ

申請後の変更は「高額な追加費用」と「工期遅延」の最大要因。迷いは必ず申請前に解消するのが鉄則です。

原因3：住宅ローン審査や書類の不備

資金計画が決まらないと工事を始められないため、住宅ローンの審査がスムーズに通らないと、スケジュール全体が遅れてしまいます。

事前審査の準備不足や、本審査での書類不備、あるいは健康状態の問題などで審査が長引くことも少なくありません。金融機関によって審査のスピードも違うため、余裕を持って準備しておきたいところです。

いつもの倍の審査期間を見ておく

特に自営業の方や転職直後の方は、審査に追加の書類が必要になり、時間がかかる傾向があります。1〜2ヶ月程度の期間を見ておくと焦らずに済みます。

早めに事前審査を済ませる

土地探しやプランニングと並行して、早い段階で事前審査を通しておきましょう。予算の裏付けができれば、安心して計画を進められます。

家づくりを最短・スムーズに進めるための4つのコツ

家づくりは、毎回の打ち合わせが決断の連続です。悩む時間が長引くほど、完成までの時期も先へ先へと延びてしまいます。

とはいえ、ただ急げばいいわけではありません。ポイントを押さえた「賢い進め方」を知っておけば、家のクオリティを保ちながら期間を短くすることは十分可能です。

すぐに取り入れられる、4つの具体的なコツをご紹介します。

1. 「絶対に譲れない条件」と「予算」を最初に決める

打ち合わせのたびに「持ち帰って考えます」と返事を待ってもらっていると、それだけで数週間の時間が過ぎてしまいます。その場で判断してスムーズに進めるためには、事前の家族会議が大切です。

まずは、「絶対に叶えたいこと（Must）」と「できれば叶えたいこと（Want）」を整理し、優先順位をつけてリストにしておくとスムーズです。

また、予算の上限を最初に決めておくことも欠かせません。判断基準がはっきりしていれば、担当者からの提案にも迷わず「選ぶ・選ばない」が判断できるようになり、結果として打ち合わせの回数を少なくできます。

2. 土地探しと建築会社選びを同時並行する

「まずは土地を決めてから」と考えがちですが、土地探しと建築会社選びは一緒に進めるのが一番の近道です。

別々に進めてしまうと、土地を買った後に「予算が足りなくて建物にお金をかけられない」「法律の制限で希望の間取りが入らない」といった問題が起き、計画が振り出しに戻ってしまう心配があるからです。

予算の全体像がつかみやすい

土地と建物の費用のバランスを見ながら検討できるため、資金計画での失敗を防げます。

窓口がひとつで済む

土地探しからサポートしてくれる会社なら、連絡の手間も省けて楽になります。

決断が早くなる

「この土地ならこんな家が建つ」というイメージがすぐに湧くため、迷わずに購入を決めやすくなります。



しょーすけ

土地と会社を別々に探すのはNG。同時並行なら「総額予算」の失敗を防ぎ、最短ルートで契約まで進めます。

3. 担当者との相性とレスポンス速度を重視する

家づくりのパートナーとなる担当者の力は、スケジュールの進み具合に大きく関わってきます。質問への返事が遅かったり、こちらの想いが伝わらない提案が続いたりすると、確認に時間を取られ、家づくり自体が負担になってしまうかもしれません。

複数の会社を比べるときは、提案の内容だけでなく、「返信の早さ」や「話しやすさ」も大切な判断基準にしてみてください。

「この人なら安心して相談できる」と思える関係が作れれば、話もスムーズに通じるようになり、無駄なやり取りを減らして計画をどんどん進められます。

4. 規格住宅やセミオーダーも検討候補に入れる

「注文住宅＝完全自由設計（フルオーダー）」という思い込みを一度外してみるのも、期間を短くする良い方法です。

イチからすべてを決めるフルオーダーは自由度が高いですが、細かい仕様を決めるのにどうしても時間がかかってしまいます。一方、プロが厳選したプランや仕様から選ぶ「規格住宅」や「セミオーダー住宅」なら、打ち合わせの期間をぐっと短くできます。

おしゃれで性能が高い規格住宅も増えているため、こだわりと効率の両方を叶える賢い選択肢として、候補に入れてみてはいかがでしょうか。

注文住宅の期間に関する成功談と失敗談

注文住宅の完成までの期間は、平均して1年程度と言われていますが、実際には「半年で建った」という人もいれば、「3年以上かかった」という人もいます。

この差はどこで生まれるのでしょうか。実際に家を建てた先輩施主のブログやSNSでの口コミを調査すると、明暗を分けた決定的なポイントが見えてきました。リアルな成功談と失敗談から、スムーズに進めるためのヒントを探りましょう。

成功談

ネット上のブログやSNSでは、プロを味方につけて効率的に進めた方の声が多く見られました。

失敗談

一方で、こだわりや準備不足が原因で、想定以上に期間が延びてしまったという後悔の声も少なくありません。

成功談・失敗談から見る傾向

これらの成功談・失敗談から見えてくる傾向は非常に明確です。

土地探しが最大のボトルネック

失敗談の多くは「土地が見つからない」ことに起因しています。成功者はハウスメーカーを先に決めて「土地探しのパートナー」にすることで、期間を短縮しています。

「迷い」が工期を延ばす

プランの変更や決断の遅れは、数週間から数ヶ月単位の遅延に直結します。成功している人は、規格住宅を選んだり、プロの提案を素直に受け入れたりと、決断のスピードを重視している傾向があります。

注文住宅の期間でよくある質問

家づくりを進める中で、多くの施主が抱く疑問や不安をQ&A形式でまとめました。天候の影響や二世帯住宅のケースなど、知っておくと慌てずに済むポイントを解説します。

Q1. 冬に着工すると完成まで遅くなるって本当？

A. コンクリートの乾燥に時間がかかるため、工期が延びる可能性があります。

冬場の基礎工事では、気温が低いとコンクリートが固まるまでの強度確保に時間がかかり、「養生期間」を通常より長く設定する必要があります 。

また、積雪が多い地域では物理的に作業ができず、工事がストップすることもあります。冬をまたぐスケジュールの場合は、あらかじめ1ヶ月程度の予備期間を見込んでおくと安心です 。

Q2. 二世帯住宅や複雑な間取りは時間がかかる？

A. 打ち合わせと工事の両方で期間が長くなる傾向があります。

二世帯住宅は、キッチンや浴室などの設備が2つになるほか、親世帯と子世帯で意見調整が必要になるため、プラン決定までの時間が長引きます 。

設計期間への影響

世帯間の意見のすり合わせに時間を要し、打ち合わせ回数が増加します。

工事期間への影響

建物が大型化し設備も複雑になるため、通常より1〜2ヶ月程度長くかかります 。

Q3. 住宅ローンの審査が通らないと着工できない？

A. はい、本審査の承認と契約締結が着工の必須条件となります。

住宅ローンの本審査に通っていない状態では、金融機関からの融資確約が得られていないため、施工会社は工事を始めることができません 。

事前審査（仮審査）に通っていても、本審査で書類不備や追加確認が発生すると時間がかかります。審査期間は金融機関の混雑状況にもよりますが、2〜4週間以上かかることもあるため、早めの手続きが鉄則です 。

Q4. 工事中に雨が降って木材が濡れても大丈夫？

A. しっかりと乾燥させれば強度は落ちないため問題ありません。

木造住宅の建築中に雨が降ることは珍しくありませんが、最近の木材は乾燥処理されており、一時的な雨濡れで直ちに腐ることはありません 。

ただし、濡れた木材を乾かすための時間が必要になり、その分だけ工期が数日〜1週間程度延びる可能性があります。梅雨や台風シーズンに着工する場合は、天候による遅延リスクを考慮しておきましょう 。

Q5. とにかく早く建てたい！最短で建てる方法は？

A. 「土地あり」の状態で「規格住宅」を選ぶのが最短ルートです。

注文住宅において最も時間を消費するのは「土地探し」と「設計打ち合わせ」の2つです 。

すでに土地を持っている場合、または土地と建物をセットで購入する場合、ハウスメーカーが用意したプランから選ぶ「規格住宅」を採用すれば、設計期間を大幅に短縮できます。条件が揃えば7〜8ヶ月程度での入居も可能になります 。

まとめ｜注文住宅の期間は平均10〜14ヶ月！理想の入居日から逆算して準備を始めよう

注文住宅の家づくりは、検討を始めてから入居するまで平均して約10〜14ヶ月という長い期間がかかる大きなプロジェクトです。土地探しから始める場合や、プランにじっくりこだわりたい場合は、さらに時間がかかることも考えておく必要があります。

「まだ先のことだから」と後回しにせず、まずは「いつ入居したいか」というゴールを決め、そこから逆算して今できることから始めてみてはいかがでしょうか。

資料請求・カタログ収集

自宅にいながら、いろいろな住宅会社の情報を集めて比較検討する良いきっかけになります。

ファイナンシャルプランナー（FP）への相談

無理のない予算や将来の生活設計を把握でき、お金に関する不安を解消できます。

住宅展示場・見学会への参加

実際の建物を体験することで、理想の暮らしのイメージがより具体的になります。

契約を焦るのは避けたいですが、情報収集を早めに始めることに早すぎるということは決してありません。

余裕を持ってスケジュールを組むことが、急な変更にも落ち着いて対応できる安心感につながり、理想の住まいを叶えるための大切なポイントになります。